相撲には欠かせない土俵。
相撲ファンならずとも誰もが知っている、力士が取組を行う神聖な舞台だ。
この土俵、本場所ごとに新しく手作業で作られ、
千秋楽を迎えると土に戻しているのをご存知だろうか。
「あの土に触れてみたい」
「少しで良いので記念に是非とも持ち帰りたい」
そんな相撲ファンの熱いご要望にお応えし、実際の土俵の土を固めて作ったものが、
この『土俵の土ストラップ』。
土俵の土ストラップの開発秘話を、小野川親方(元北太樹)に聞いた。
お客様の生の声をもとに実現した商品
「土俵の土が欲しい、触りたい、というお客様って結構いらっしゃるんですよね」。
小野川親方は、本場所中、公式売店で接客しており、
相撲ファンの生の声を耳にしていた。
「そんな時に、たまたま製造会社の人が向こうから声をかけてくれたんですよ」。
連絡をくれたのは江の島の砂や鳥取砂丘の砂など、
砂を固めて土産物などを製造する鳥取県の会社。
ファンの思いを固めた商品の開発がスタートした。
商品開発は色んな意味で“踏んだり蹴ったり”
いざ開発が始まったものの、試作品の完成までにおよそ4か月を要した。
一番の課題は強度。土俵の土の性質上、強度を上げることが難しく、
完成品より一回り小さかった最初の試作品は、根付のために穴をあけると、
割れてしまった。
形も、国技館の形など様々な意見の中から現在のシンプルな形に決まった。
「僕らの苦労というより業者さんの苦労で。
難しかったみたいです。僕らも強度を確認するために、試作品を踏んだり蹴ったり(笑)
叩きつけても全然大丈夫でした」。
本当に頑丈なので、願掛けにしてもおもしろい
試作に試作を重ねて作られた頑丈な「土俵の土ストラップ」。
しかし、大阪場所で事件が起きた。
「岩友親方が冗談まじりで『落っことしたら割れるんかな?』と落としたら、
正代のストラップが割れてしまったんです。うわー!縁起悪い!って」。
ところがそれまで連敗していた正代が、連勝。
「これで負けたらちょっと縁起が悪いけれど、連勝してくれてホッとしました」。
あんなに叩きつけても壊れないのに、落としただけでどうして割れたのかと驚いた一方で、
「自分としてはミサンガ的な役割というか、壊れた方がいいことがあるみたいな、
そういう方がおもしろいかなと思ったりしています」。
土俵の土は廃棄せずストラップに変身!環境にもやさしい
現在、本場所の土俵の土は、地方場所も含め全て埼玉県川越市 荒木田のものが
使用されており、一般の方が手にする機会はないに等しい。
しかし、小野川親方が現役のころは、地方場所はその地方で取れる土で土俵を作っていた。
「特に九州の土俵は水を撒くとめちゃくちゃ滑るとか、反対に東京はしっくりくるとか。
場所によっても土によっても、滑りやすい、削れやすい、しっかりしているという違いが
すごくありました。」
滑らないように土俵に水を撒くこともあるが、ひどいときは水を撒きすぎて、土が揺れたりすることもあった。
「九州場所ではもう水撒かないでー!と思ってた。
逆にサラサラすぎて滑る日もあるので、そういう時は水撒いてくれないかな・・・っ
て。」
可笑しそうに目を細めながら、振り返る。
「全国で相撲をやってきた中、一番好ましいと感じた荒木田の土を土俵の土として採用して
いるので、現在の土俵のコンディションは最高です。」
埼玉県川越市の土に統一された今、土俵の土は場所後、土に戻され業者に送られている。
「最後に取りに来たのは大阪場所の土。
確か2トントラックだったので、しばらくは持つでしょうね。
それまでは廃棄するだけの土だったので、まさにSDGsです。」
お客様の声がグッズに反映されやすい相撲の世界
相撲はほかのスポーツと違い、同じ地元出身という理由で力士を応援するファンもとても多い。
「例えば御嶽海(出身地長野)だったら、長野県から相撲を観に来た方が
お土産で10個くらい買っていくこともあります。
地元の力士のグッズはお土産にもしやすいんだと思います」。
当初、番付が上位の幕内力士10人分のストラップをお試しで販売したところ、
中日ぐらいまでにあっという間に売り切れてしまった。
今は少しずつ種類を増やし、20人分まで増えている。
「公式売店に立っていると、だれだれの作ってよ、というご要望も多い。
私の推し力士も作ってよって。
公式売店に来て、親方衆の誰かにこの力士の商品がほしいと言い続けて頂けたら、
多分すぐ商品になります(笑)もう熱烈に言い続けてくださったら。」
推し力士のストラップをつけて生の相撲観戦に
これまで、本場所に足を運んだことのないファンに対し、小野川親方は伝える。
「できればぜひ生で相撲を見てもらいたいと思うんです。
テレビで観て、という方もたくさんいると思うんですけど、
やっぱり実際生で観ると迫力が絶対違います。
巡業に行ったらサインもできるし、写真も取れるし、握手もできる。
その距離の近さが相撲の楽しめる部分だと思います。
「力士と近付くきっかけにもなるので、その力士のストラップをつけてくださったり、
グッズを持ってくれていたら、力士たちは本当に励みになります。
実際に本場所にいらっしゃる方も、そうでない方もSuMALLでご購入頂いて(笑)、
応援していただきたいです」
鍵やバッグにつけた土俵の土ストラップ、推しの力士が気づいてくれるかもしれません。